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甲板に居る彼女は先ほどから視線を感じている
船室へと続く廊下から注がれているのだろう視線は五月蝿いと感じるほどだった
視線の主は仲間の中で一番最年少の彼だということは既に分かっているのだが、彼女には何故自分を見ているのかが分からなかった
悶々と考えている間にも彼の視線はまだ彼女に注がれている
彼女の堪忍袋が良い音をたてて切れた
「さっきから何だ!!言いたいことがあるのならハッキリ言え!!!」
視線の主は飛び上がるくらいビクッとした後、えーと、とか、うーと、とか声にならない声をだして中々言い出そうとしない
不機嫌な表情でギロリと睨むと、ビクリと肩を震わせた後、いつもキレイに編まれている彼女のお下げを指差した
「…ジェレミアさんは、髪の毛を下ろさないでありますか…?」
「はぁ!?」
あまりに不可解な質問に絶句していると、だってヴァルダさんとアルマさんは下ろしたままでありますよ?と小さな声が返ってくる
「ファルコンは結んでいるだろう…」
彼女の他にもう一人髪を結んでいる仲間の名前を出すと、まぁそうでありますけど…と要領を得ない言葉の後、もごもごとした音が聞こえてくる
また彼女の堪忍袋が良い音を立てて切れた
「言いたいことがあるならハッキリ言えっ!!!貴様…男だろう!!!!!」
苛立ちを大いに含ませた声でそう怒鳴ると、また宙に飛び上がるくらいビクッとした後
彼はとても照れくさそうな笑顔でこう言った
「ジェレミアさんのお下げは解いて風に揺れたらきっと……一面の稲穂みたいに揺れながらキラキラ光ってキレイなんだろうな、と思ったであります…」
だから…と続く言葉はあまりに呆気にとられてしまっている彼女には届かなかったが、先ほどまで彼女の心を満たしていた苛立ちは、少し冷たいけれど優しい秋風と共にどこかに流れ去って行った
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加筆・修正しました。
お前に聞きたいことがあるんだ。
お前は私に責任を押し付けて逃げ出したと思っているかもしれないが、それがお前の勘違いだったらどうする?
本当は『フィガロ』という名を捨てて後ろ盾も何も無い外の世界で生きていく苦難に『自由』と言う耳障りの良い言葉を当てはめてお前に押し付けたのだとしたら?
誰も私を知らず、誰も私を望まない世界が怖くて本当は私が逃げ出した方だと言ったら?
こんな事を聞いたらお前は何て答えるのだろうか?
ショックを受けるだろうか?それとも罵るだろうか?
…いや、お前は…お前ならきっと
キョトンとした後「馬鹿だな、何言ってんだ?」と笑うんだろう
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ふと、城に残ることも一種の『逃げ』になると思ったので…