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元拍手や短いお話置き場
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甲板に居る彼女は先ほどから視線を感じている
船室へと続く廊下から注がれているのだろう視線は五月蝿いと感じるほどだった
視線の主は仲間の中で一番最年少の彼だということは既に分かっているのだが、彼女には何故自分を見ているのかが分からなかった
悶々と考えている間にも彼の視線はまだ彼女に注がれている

彼女の堪忍袋が良い音をたてて切れた

「さっきから何だ!!言いたいことがあるのならハッキリ言え!!!」

視線の主は飛び上がるくらいビクッとした後、えーと、とか、うーと、とか声にならない声をだして中々言い出そうとしない
不機嫌な表情でギロリと睨むと、ビクリと肩を震わせた後、いつもキレイに編まれている彼女のお下げを指差した

「…ジェレミアさんは、髪の毛を下ろさないでありますか…?」
「はぁ!?」

あまりに不可解な質問に絶句していると、だってヴァルダさんとアルマさんは下ろしたままでありますよ?と小さな声が返ってくる

「ファルコンは結んでいるだろう…」

彼女の他にもう一人髪を結んでいる仲間の名前を出すと、まぁそうでありますけど…と要領を得ない言葉の後、もごもごとした音が聞こえてくる

また彼女の堪忍袋が良い音を立てて切れた

「言いたいことがあるならハッキリ言えっ!!!貴様…男だろう!!!!!」

苛立ちを大いに含ませた声でそう怒鳴ると、また宙に飛び上がるくらいビクッとした後
彼はとても照れくさそうな笑顔でこう言った

「ジェレミアさんのお下げは解いて風に揺れたらきっと……一面の稲穂みたいに揺れながらキラキラ光ってキレイなんだろうな、と思ったであります…」

だから…と続く言葉はあまりに呆気にとられてしまっている彼女には届かなかったが、先ほどまで彼女の心を満たしていた苛立ちは、少し冷たいけれど優しい秋風と共にどこかに流れ去って行った


……………………………………………………
加筆・修正しました。

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真っ赤に染まった空と太陽を彼はまるで取り憑かれたように見入っていた
一年中月夜の森から旅立った彼は、太陽の眩しさと太陽が世界に別れを告げるときはこんなにも赤く世界を染めることを初めて知った
すそを引っ張る小さな感覚に視線を下げると、仲間の一人の金色の巻き毛を持った少女が不思議そうな瞳で彼を見上げているのに気がつく

「何を見てるんでちか?」
「…真っ赤な太陽と空」
「夕焼け空っていうんでちよ!!」
「本当に燃えてるみたいだ…」

素直に頷く彼に彼女が更に得意そうに本当に燃えてるわけじゃないんでちよ!と言うと、じゃあ何であんなに赤いんだ?と彼が聞いた
実は彼女だって、“夕焼け”という言葉は知っていても理由なんて知らなかったので、答えに詰まってしまう

しばらくの沈黙の後、彼はあぁ…と呟く

「何一人で納得してるんでちか!?」
「何で真っ赤か、分かった。」
「えぇ!?」

“夕焼け”という言葉すら分からなかったの彼が知っているはずはないと思っていた彼女は驚きと自分が分からないことの焦りにもとから大きな瞳を更に大きく見開いた

「きっと…我慢してる…」
「がまん…?」

凡そ夕日が赤い理由とはかけ離れた言葉に彼女が眉を寄せると、だって、シャルロットと一緒。と、自分の名前が出てきたので、驚いて声を上げる

「シャルロットと一緒でちか!?」
「うん。この前、お菓子買ってって駄々捏ねて、デュランに叱られて、泣くの我慢してるシャルロットの顔と同じ色。」

まだこの空で遊んでいたいと駄々を捏ねる赤い顔が彼女の顔をずっと染めていたので、その顔が怒りと恥ずかしさで真っ赤になっていることに彼は気付かなかった


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加筆・修正しました。
「今日 は 黄色!」

夜空を見上げながら彼が言った言葉に彼女は疑問を覚える

「今日はって何が?」
「月!」
「あんたねぇ…」

ニコニコと月を指差しながら彼が言った当たり前のことに彼女は軽く頭痛を覚える
きっと言葉が拙い彼が言い間違えただけだろうと、気を取り直して彼女は彼に向き合った

「『今日“は”』 じゃなくて 『今日“も”』でしょ?」
「…う?」
「だぁーかぁーらぁっ!!『今日“も”黄色』でしょ!?」

ムキになってそう言うと、ちがう ちがう!今日は 黄色!!と首を横に振られてしまった

「何が違うのよ!?」
「今日 “は” 黄色 で良い!」
「何でよ!?」
「今日 は 黄色に 塗った!」
「はぁ!?」

彼女が全く理解出来ない答えに唖然としていると、彼は笑顔で言葉を続ける

「きっと リルムみたい たくさん 色 持ってるヤツ 空に居る! …そいつ 月の色決める! 月 昼間 白。その時 決めた色 塗る!!そしたら 夜 塗った色 なる!! だから 月…黒になったり…赤になったり…ガウ!」

彼女がその答えに納得しつつも呆れながら、私だったらピンクにレースのリボンをかけるわ。と言うと、彼はそれは、うまそうだな!と彼女を更に呆れさせた。


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少し加筆・修正しました。
女が泣いている


鼻を啜る音と嗚咽に紛れて聞こえる甲高い音は彼にとって何の意味も無い
その音はただの言い訳でしかないのだから―女の罪の

静かに聖印を結び聖書の上に手のひらを置く


「マナの女神は貴方を許すことでしょう」
彼は抑揚のない声で彼が言うべき言葉を発してから静かに瞳を閉じた


女が泣いている
―――罪深い女が


                貪欲
           (赤児を捨てる藪はあれども、身を捨てる藪はない)


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私信・30分じゃ無理です。

お前に聞きたいことがあるんだ。


お前は私に責任を押し付けて逃げ出したと思っているかもしれないが、それがお前の勘違いだったらどうする?

本当は『フィガロ』という名を捨てて後ろ盾も何も無い外の世界で生きていく苦難に『自由』と言う耳障りの良い言葉を当てはめてお前に押し付けたのだとしたら?

誰も私を知らず、誰も私を望まない世界が怖くて本当は私が逃げ出した方だと言ったら?


こんな事を聞いたらお前は何て答えるのだろうか?
ショックを受けるだろうか?それとも罵るだろうか?
…いや、お前は…お前ならきっと


     キョトンとした後「馬鹿だな、何言ってんだ?」と笑うんだろう


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ふと、城に残ることも一種の『逃げ』になると思ったので…

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